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■首の振り方 (2003/3/9)

 「首を縦に振る」、もしくは「首を横に振る」と云う慣用句の意味合いは誰もが
知る所だが、首を”縦に”振ると改めて言うまでも無く、元々は「首を振る」と云う
言葉だけで承諾を意味していたと思われる。近世の書物で「首を振る」の形を
見ても”縦に”と云う言葉が見つからない。
 この仮定の上に推論を述べるとすれば、日本には否定の表現として首を
左右に振る形が元々は無かったのではあるまいか。

 ”首を傾(かし)げる”、”首を捻(ひね)る”等の慣用句は、納得し得ない状態や
訝(いぶか)しむ際に用いられる。どちらも横の動きであって縦の動きを意味
する物ではない。つまり肯定の時にだけ縦に首を振る事が有り、否定の際は
婉曲的に口頭でその旨を述べていたと考える。NOと言えない日本だの、曖昧
な日本文化だの揶揄されるが、元来そういう文化であったと考えれば”縦に”
と云う言葉が見られない理由も納得できる。
 馬から落馬するなどの間違った二重表現ではなく一般的な表現であっても、
出来る限りくどい表現は避けたい所だ。「首を振る」は肯定、「首を横に振る」は
否定と使い分けるのが良いと思われる。


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